(ブラジル/2015年/監督:ホベルト・ベリネール/109分)
良い映画を観ました。
個人の基準ですが
良い映画とは観ている最中に心揺さぶられることと、
見終わった後にも映画のことをよく考えたくなること、
そして自分ならどうするか、と向き合うこと。
これほどまでに人間たらしめる作品に出会えることは
そう多くないと思う。
この映画の主人公、
ニーゼ・ダ・シルヴェイラは実際にブラジルの精神医療界の革命児でした。
1920年代に150人程の男性生徒の中で
唯一の女性として医療について学んだ経歴を持ち
当時から革新的な女性だったことは言うまでも無く。
本作は一昔前の精神疾患への治療がこれほど人権を無視したものだったのかと
衝撃的な事実でこの映画はスタートします。
精神を病むことが動物的に不自然な人間にとっては
魂で会話することが改善への第一歩だと本作は教えてくれます。
セラピーの一種として
絵を描いたりや動物と触れ合うことが
ここ最近ではよく見聞きすることではありますが
1940年代の医療業界では認知されていなかった。
動物と触れ合い絵を描くことに没頭することで
少しずつ自分を取り戻しつつある患者たちを優しく導いていくニーゼに
次第に引き込まれ人間としての美しさを強く感じました。
彼女が実際に発言した中にはこんな言葉がありました。
「複雑な精神医学の本より、マシャド・デ・アシスやドストエフスキーの本を読むこと。
"魂の深淵"を真に探求するものだから。」
ニーゼが実際にスイスの心理学者カール・グスタフ・ユングから
強く影響を受けていたことが描かれており
合理的な医療行為とは違った角度からの治療への
アプローチが最大の見所でもありました。
当時のブラジルの医療業界の現実を描いた本作は
絶望と希望を突きつけてくれる意味のある作品でした。
それにしてもインディペンデントな生き方をした女性は強く美しい。
心掴まれる作品でしたのでオススメです。
12月17日(土)より
ユーロスペースほかにて全国順次公開予定とのこと。