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2022年1月25日火曜日

メイド・イン・バングラデシュ

 


(フランス=バングラデシュ=デンマーク=ポルトガル/2019年/監督:ルバイヤット・ホセイン/95分) 


この春公開のバングラデッシュ出身の女性監督ルバイヤット・ホセイン最新作
「メイド・イン・バングラデシュ」を観ました。

本作は世界のファストファッションを支え、バングラデシュの主な労働力である
若い女性の実話がもとに描かれている作品。

特に最近では衣、食において、
消費者である私たちが生産背景を積極的に知ることが必要があると感じるようになりましたが、
本作を通し改めてファストファッションのあまりにも安い価格は、
バングラデシュの若い女性たちの犠牲の上に成り立っていることを痛感させられます。

縫製業に関わるバングラデシュの女性たちは職場や家庭でも、
経営者や家長に抑圧され不当な待遇を受けています。

経営者は若くて従順な女性を積極的に雇用し、
低い賃金で長時間労働をさせています。

劣悪な環境での労働は見ていてとても苦しくなりました。

しかしそんな中、本作では彼女たちが「知」を得て労働組合を立ち上げ、
置かれている状況に決して屈しない姿が描かれていました。

工場経営者や家長の男性優位なあり方に屈しない主人公の描かれ方、
そして、労働者の権利を学ぶことが彼女たちの権利を守ることだと知り
邁進していく姿が実話であったと言うことに救いを感じました。

アパレル産業に関わる者として、そして一消費者として、
ファッションの現状を知ること、学ぶことはとても大切なことです。

企業理念や生産背景を知り、非人道的な行いをする企業を支持しないことの重要性と
物を買う時、想像力を働かせて少しでも正しい選択をしなければいけません。

同時に女性の人権問題にも大きく関わっており、
構造的で階層差別を変えていくために社会を知るための教育の必要性も感じました。

あらゆる問題が潜む本作品は自分自身に何が出来るのか問いかけたくなる作品です。

本作は4月16日から岩波ホール、以後全国順次公開予定です。
今年で閉館してしまう岩波ホールさんで是非もう一度拝見したいです。



2021年8月22日日曜日

Summer of 85


Summer of 85
(フランス/2020年/監督:フワンソワ・オゾン/101分) 


8月20日に公開したばかりのフワンソワ・オゾン監督の最新作を観に行った。

公開前からおしゃれなポスターに心奪われて笑
公開を今かいまかと楽しみにしていた本作。

勝手にだけど、「君の名前で僕を呼んで」と
ポスターデザインが似ているので
(てか、ポスターのデザイナーさん一緒だわ)
同じようなテイストを期待して観に行ったのだが、
ちょっと違った展開に最後までのめり込めず鑑賞を終えた。

皆さんの感想が逆に聞きたいなぁ!

日本版の映画オフィシャルHPやポスター宣伝物のクオリティが高くて好きで
完全に期待値を上げすぎていたのか・・

フワンソワ・オゾン監督作品好きの方に
感想聞きたいなぁと思っております。

上手く感想が書けず申し訳ない・・

2021年7月19日月曜日

夢のアンデス

(チリ・フランス/2019年/監督:パトリシオ・グスマン/85分) 


先日、パトリシオ・グスマン監督の最新作「夢のアンデス」を観た。

「光のノスタルジア」「真珠のボタン」に続くチリの政治的な歴史を
描いた3作目として作られた本作。

チリの国境に沿って静に佇むアンデス山脈、
1973年に起きた軍事クーデター以降の激動の時代、
チリの壮絶な歴史を対象的に描いていた。

「光のノスタルジア」「真珠のボタン」の公開時に劇場のグッズを担当させてもらって
山形国際映画祭にも行った。
(この時からもう7年も経っていたなんて。)

映画祭ではグスマン監督の三部作「チリの闘い」を観た。
(この映画は263分もあったらしい。確かに同時通訳で休憩を挟みながら観た記憶があり、
内容も含めかなりハードだった記憶がある。)

グスマン監督が撮り続けたチリの絶望的な時代を経て現代もまた空虚な方向へと突き進んでいる。
その反面、新しい世代が空虚な箇所を取り戻そうとしている動きもある。

地球の裏側で起きていたことは決して他国のこととは思えない。

近年活発化する市民運動にもリンクする観るべき作品だと思った。
無かったことには決してしてはいけない、ドキュメンタリーの真骨頂。

2021年10月9日、岩波ホール、アップリンク吉祥寺ほか公開予定です。



2021年7月12日月曜日

マルジェラが語る”マルタン・マルジェラ”

 


(ドイツ・ベルギー/2019年/監督:ライナー・ホルツェマー/90分) 

今秋公開の「マルジェラが語る"マルタン・マルジェラ"」を先日拝見しました。


あまりに有名なデザイナーなので、観る前から緊張した。
本作はマルタン・マルジェラの集大成的一作。

2019年公開の"We Margiela"と本作が明らかに違うのは
あのマルタン・マルジェラ本人が語るところにある。 

子供時代から、最後のコレクションまで本人の言葉で伝えているのは 
これ以上ないほど貴重。

何より、この映画を撮るに至った監督の熱意と
マルジェラから勝ち取った信頼は
ファッション史に残る偉業だと思った。




マルジェラ自身の声で
マルタン・マルジェラのストーリーを聞けて良かった。

公開は9月21日から、
ホワイトシネクイント、ヒューマントラストシネマ有楽町、
シネマカリテ、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開です。








2021年7月10日土曜日

ビリー・アイリッシュ 世界は少しぼやけてる


「ビリー・アイリッシュ 世界は少しぼやけてる」を
ヒューマントラストシネマ渋谷で観てきました。

ビリー・アイリッシュ歴が浅くて恐縮なのですが、
歌声が素敵だなぁと思って少し前から聴いておりました。

この映画が、想像以上にとてもとても良くて・・
私は何度も泣いてしまった。

なんて言うか、ビリーの家族がすごく素敵なんです。

お兄さんはビリーのプロデューサーとして有名ですが
お母さん、お父さんも素晴らしい人たちで・・

本当に家族全員でビリーを支えているし
ビリーに対する愛情や
ビリーが家族に守られている感じも
何にも変え難い信頼関係にジーンとしたし。

音楽的な面よりも私は家族愛に関して
とても感動して
ますます応援したくなったなぁと思いました。



渋谷民の私は日頃は自転車でスイスイ。


この自転車は弟の会社の社長さんの自転車をずっと借りている。
 (うちの弟は愛媛県に住んでいるんだけど、社長さんが定期的に東京に来るから
自転車をうちに置いているので〜)

ずっと自転車乗っていなかったのだけど、
この自転車を借りてからは毎日のように乗っている。

自転車って気持ちいい。

 

2021年6月23日水曜日

椿の庭



写真家の上田義彦さんの初めての監督作品「椿の庭」を観に
UPLINK吉祥寺へ。

4月から公開していた作品で
とても気になっていたのだけど
なかなか観に行く機会がなくやっと行ってきました。

毎回思うけど、少しでも気になった作品は
必ず劇場で観た方が良いな。
上映期間が終わってしまって後で
自宅で観たりもするけど感動が半減する。

最近は特に劇場で観ることに拘りたいと
改めて思っていたところに
この作品だったので本当に感動した。

上田義彦さんの広告作品などとても馴染みがあるし
素晴らしいものが多いけれど、
映画として味わうのはまた全然違った良さがありました。

全てのシーンが
写真集のページをめくっていくように美しく情緒がある。

主演の富司純子さんが本当に凛としていて
彼女の生活そのものをずっと撮っているんだけど
食事をしたり、庭を掃除したり・・その一瞬一瞬が
美しく尊い日常だった。

映画の良さを伝えられる言葉が思い浮かばない、自分がもどかしい。

どこか小津安二郎監督のような味わいもあったと思った。


ものすごく良かったので、母と息子にこの映画の良さを熱弁した。
予告編を何度も観せて、
母には次の日に映画を観に行ってもらった。笑

良かったものは共有したいタイプ。笑



UPLINK吉祥寺にキン・ザ・ザのオブジェがあった!


すごいクオリティに驚いた。

SisterのTシャツも販売していただいています。




2019年11月18日月曜日

ホドロフスキーのサイコマジック


(2019年/100分) 

すっかりこの映画のことを書くのが遅くなってしまいました。

前回書いた映画の記録を見たら
自らの趣味思考の危うさにドキドキしています・・


あいちトリエンナーレの会期中、世界最初の上映があると言うことで
駆けつけた本作!

ホドロフスキーの作品はどれもエネルギーに満ちていて大好きなので、
今回の上映も心待ちにしていたんです・・


これまでホドロフスキー自身が人々の心を癒す取り組みを少しは知っていたけど、
本作ではその全貌が明らかにされていました。


2014年、ホドロフスキーが来日した際に
世田谷にある野沢龍雲寺での100人座禅大会と説法がありました。
これにももちろん参加したのだけど、
この時から過去と向き合い癒し、そしてそれを伝承していく取り組みを知り
非常に興味深かった記憶がありました。



相談者のトラウマに向き合い、
傷口にさらに塩を塗り込むような荒治療が
実は功を奏しているところも想像を超える・・

あいちトリエンナーレでの展示で
「サイコマジック:ホドロフスキーへの手紙」と合わせて映画を楽しむとよりその療法の内容が
より明確になります
(もう展示終わっちゃったけど・・)

ホドロフスキーが提唱している
精神分析的なセラピーではなく、アートとしてのアプローチから生まれたセラピーは
サイコマジックアートとして新たな療法を確立したのだと思いました。



もうここまでくると何でもあり・・!?
ホドロフスキーの信じる神は
彼にしか創造できない崇高なものだと確信したのでした。




私も知っていたらホドロフスキーのセラピーを受けてみたかった・・。

来年春ごろ、UPLINKさんにて公開予定とのこと。




2019年8月18日日曜日

カーライル ニューヨークが恋したホテル


(アメリカ/2018年/監督:マシュー・ミーレー/92分) 

この作品は結構前に試写会で観せてもらった作品。

1930年創業、ニューヨークが誇る伝説の5つ星ホテル
「ザ・カーライル」は
多くのセレブリティに愛されてきたタイムレスなホテル。


ホテルでのエピソードを語るセレブたちの愛のあるコメントに
カーライルがどれだけ素晴らしく
多くの人に愛されてきたか知ることができます。
(セレブたちのプライベートなエピソードが沢山!
大好きなジャック・ニコルソンのレイカーズエピソード・・)

特に印象に残ったのはホテルの従業員たちが
それぞれの人生の一部となってホテルと共に歩んできた時間。
カーライルを運営する一員としての意識の高さ、
ホテルの品格を守りつつ愛情を絶やさない
特別な場所であることが伝わってきました。


時代が変わっても受け継がれていくべき
大切な場所があることを
教えてくれる心温まる作品でした。





2019年7月5日金曜日

Girl


Girl
(ベルギー/2018年/監督:ルーカス・ドン/105分) 


映画界の新星ルーカス・ドン監督による初長編作品「Girl」

実話をもとに作られた作品。

ある日ベルギーの新聞に掲載されていた記事が
ルーカス・ドン監督の目に留まる。

ノラ・モンセクールと言うバレリーナを目指す少女は
生物学的に男性として生まれたが、自分は女性だと確信し
15歳にして自身のセクシャリティを公表。
女性として自分の夢を叶えるために突き進んだ。

ルーカス・ドン監督も社会が求める性役割に対して
不満を抱えながら幼少期を過ごしたひとりだった。

ノラの勇気ある行動に心打たれ何度もアプローチを重ね
およそ10年と言う月日をかけてこの作品実現へと漕ぎ着けたのが本作。



思春期に起こる心と身体に対する違和感や葛藤、
自身の将来に向けた漠然とした不安など・・
この映画にはジェンダー問題だけではない
様々な苦悩が絡み合い主人公の繊細で複雑な心情が描かれている。

本作での主人公・ララを演じたのは
ベルギーのバレエ学校に通う青年ビクトール・ポルスター。
彼はこの作品が映画デビューでしたが、
モデルとなったノラをララとして完全に存在させた。
性を超越した圧倒的な美しさがあり
この映画は彼無しにはありえなかったと思う。

彼はシスジェンダーでありながら
たったの三ヶ月で女性の踊りを覚え、完璧にララになりきって本作に挑んだと言うのだから
本当に驚いた。
(バレエでは男性と女性の踊りは全く違う。まず男性はトゥシューズを履かない。)

近年ハリウッドを中心としたエンタメ業界では
LGBTQに関する議論が活性化しており
トランスジェンダーをシスジェンダーが演じることへの意見の相違が炎上の発端となっており、本作も例外ではなかった。

しかし、映画のモデルとなったノラが
「私の物語は、シスジェンダーの監督が生み出したファンタジーなんかじゃない。
ララの物語は私の物語なの。」と言う言葉がこの問題を一蹴したと思った。

だってこれは、
誰しもが成長過程の中で
心と身体に感じた違和感への葛藤や
この映画を観て心動かされた全ての「私」の物語なのだと思うから。

素晴らしい作品に出会えたことに感謝。

これからのルーカス・ドン監督の作品にも期待したいなぁと
思いました。

Sisterでこの作品とコラボレーションできたことは
とても嬉しいです。

7月5日、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町
Bunkamuraル・シネマほか
全国公開です。













2019年6月24日月曜日

メランコリック


(日本/2018年/監督:田中征爾/114分) 


この作品も少し前UPLINKさんの試写会で拝見しました。


上映の前に作品解説を読んでも
全然想像出来なかった作品。

作品冒頭から主人公の家族の大根役者っぷりに
ちょっと違和感覚えたり・・笑

作品としてのテンションが掴めず
最初はどうなっていくんだろう・・と不安だったけど、
主人公がお風呂屋さんでバイトをし始めたあたりから
すっかり作品のテンポになれてきて
いつの間にか作品の風変わりな世界に引き込まれてしまっていた。

とんでもないストーリー&状況なのに
ものすごくフラットに描いてあって
笑えるし
今までにみた映画とはまた違った気持ちにさせられる作品。

試写会の後に
監督、俳優陣の挨拶があって
とても若いチームで作られた作品だけに
映画自体の思い入れにパワーを感じました。


こういう作品も良いなぁって思える
新感覚な映画でした!


夏に公開なので
友人同士で気軽に観に行くのも良い作品だと思う!
(ストーリーはヘビーだけど何故かライトな仕上がり笑)





2019年8月、UPLINK谷ほか
全国順次公開です!